この記事の目次
建設会社が図面拾い出し、社内資料検索、受発注入力などへAIを導入する際、補助金を活用できる場合があります。一方で、「AIを使うから対象になる」わけではありません。
制度ごとに、登録済みITツールの導入、個別の省力化投資、新製品・サービス開発、人材育成など、支援する目的が異なります。先に導入目的と事業計画を整理し、その後で制度を選ぶことが重要です。
この記事では、2026年7月14日時点の公式情報をもとに、建設業のAI導入で確認したい制度と申請前の注意点を整理します。
公募内容、締切、補助率、対象経費は変更される場合があります。申請可否を保証する記事ではありません。必ず最新の公募要領と事務局、社会保険労務士・行政書士などの専門家へ確認してください。
この記事の結論
AI導入で確認したい支援制度は、費用の名称ではなく投資目的から絞ります。
導入目的 | 最初に確認する制度 |
|---|---|
登録済みITツールを導入したい | デジタル化・AI導入補助金2026 |
自社現場に合わせた省力化システムを構築したい | 中小企業省力化投資補助金(一般型)など |
革新的な新製品・サービスを開発したい | ものづくり補助金など |
従業員へAI研修を実施したい | 人材開発支援助成金 |

制度名から選ぶのではなく、「何を変える投資か」「誰が使うか」「どの経費が必要か」を先に整理します。
デジタル化・AI導入補助金2026
デジタル化・AI導入補助金は、旧IT導入補助金です。中小企業庁のミラサポplusでは、生産性向上や労働環境改善のため、AIを含むITツールの導入・活用を支援する制度と案内されています。
2026年の通常枠では、事務局に登録されたITツールを、IT導入支援事業者の支援を受けながら申請します。ミラサポplus掲載情報では、通常枠を含む複数の枠について2026年3月30日から7月21日までが申請受付期間とされています。複数者連携枠は8月25日までと案内されています(ミラサポplus「デジタル化・AI導入補助金」、2026年7月14日確認)。
建設業で想定される例
公式の活用例には、建設業が土木積算システムを導入し、見積精度向上と受注機会拡大を目指すケースが掲載されています。
建設業では、次のような登録済みツールが候補になり得ます。
- 積算・見積システム
- 工事原価管理
- 会計・請求
- 勤怠・労務
- 施工管理
- 受発注管理
- セキュリティ対策
ただし、対象になるのは事務局へ登録されたITツールです。個別開発したAIシステムや、登録されていないサービスがそのまま対象になるとは限りません。
申請前に確認すること
- 自社が中小企業・小規模事業者の要件に該当するか
- 導入したい製品が登録ITツールか
- 対応するIT導入支援事業者は誰か
- ソフトウェア、クラウド利用料、導入関連費のどこまでが対象か
- 交付決定前に契約・発注・支払いをしてよいか
- GビズIDなどの事前準備が完了しているか
カスタムAI開発を検討している場合は、登録済みツール導入と個別開発を分けて考えます。
中小企業省力化投資補助金(一般型)
中小企業省力化投資補助金の一般型は、個別の現場や事業内容に合わせた設備導入・システム構築などの省力化投資を支援する制度です。
中小企業庁の案内では、支援対象として「オーダーメイド設備や個別の現場に応じて組み合わせた汎用設備、システム等を導入する事業計画」が示されています(中小企業庁「中小企業省力化投資補助金」案内PDF、2026年7月14日確認)。
建設AIで検討し得る方向
- 図面確認や数量拾いの省力化
- 注文書読み取りと受注入力の省力化
- 点検画像の確認支援
- 現場帳票や報告書作成の省力化
- 複数システム間のデータ連携
ただし、制度目的は生産・業務プロセスの効率化です。単にAIを導入したいという理由ではなく、現状の業務量、人手不足、導入後の効果、賃上げなど、公募要領で求められる事業計画を確認します。
用意したい業務データ
申請を検討する前に、次を数字で整理します。
項目 | 例 |
|---|---|
現在の処理件数 | 月間の図面、注文書、報告書件数 |
現在の作業時間 | 1件あたり時間、担当人数 |
発生している問題 | 滞留、差し戻し、入力ミス、属人化 |
導入範囲 | AIが処理する工程、人が確認する工程 |
効果指標 | 時間、件数、処理速度、修正率 |
この情報は、補助金を使わない場合でもPoCの判断に使えます。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、革新的な新製品・新サービスの開発などを支援する制度です。自社内の一般的な業務効率化だけを目的にする場合、制度目的と合わない可能性があります。
たとえば、建設会社が新しいAIサービスを開発して外部提供する、従来にない施工・検査サービスを事業化するといった計画では、検討余地があります。
公式サイトでは、公募要領が締切ごとに公表され、内容が変更される場合があると案内されています。また、申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です(ものづくり補助金公式サイト、2026年7月14日確認)。
次の違いを明確にします。
- 社内業務を省力化する投資なのか
- 顧客へ提供する新製品・新サービス開発なのか
- 既存サービスの単純な導入なのか
- 技術開発や事業化を伴うのか
制度目的と合わない申請を無理に作らず、支援機関へ事前相談します。
人材開発支援助成金
AIツールやシステムの導入だけでなく、従業員向けのAI研修を実施する場合は、人材開発支援助成金を確認します。
厚生労働省は「人への投資促進コース」について、デジタル人材・高度人材を育成する訓練、定額制訓練などを実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成すると案内しています。また、「事業展開等リスキリング支援コース」では、新規事業の立ち上げなどに伴い、新たな分野で必要な知識・技能を習得する訓練を支援しています(厚生労働省「人材開発支援助成金」、2026年7月14日確認)。
AI研修で確認すること
- 対象事業主・対象労働者の要件
- 研修内容と職務との関係
- 訓練時間
- 対面・オンライン・定額制の扱い
- 訓練実施前に必要な計画届
- 出席・受講・支払いの証憑
- 管轄労働局への相談時期
助成金は研修実施後に申請すればよいとは限りません。契約・開始前に最新パンフレットと管轄労働局へ確認します。
研修自体の設計は、建設業向けAI研修の3段階カリキュラムで解説しています。
補助金ありきで進めない
補助金を前提にシステムを選ぶと、対象経費に合わせることが目的になり、現場課題とのずれが起こります。
先に、次の順番で整理します。
- 改善したい業務を決める
- 現在の件数と時間を測る
- AIに任せる範囲と人が確認する範囲を決める
- 必要データを確認する
- 小さなデモやPoCで成立性を確認する
- 投資計画に合う支援制度を探す
建設業で最初にAI化する業務の選び方も合わせて確認してください。
申請前のチェックリスト
- 解決したい経営課題と業務課題が言語化されている
- 現在の件数・時間・人員を把握している
- 導入後の効果を測る指標がある
- 対象制度の目的と事業計画が一致している
- 自社が対象事業者の要件を満たす
- 対象経費と対象外経費を確認した
- 契約・発注・支払い可能な時期を確認した
- GビズIDなどの事前手続きを始めた
- 最新の公募要領と更新情報を確認した
- 事務局または専門家へ相談した
まとめ
建設業のAI導入で支援制度を検討するときは、投資目的から候補を分けます。
- 登録済みITツール:デジタル化・AI導入補助金
- 個別の省力化システム:省力化投資補助金など
- 新製品・新サービス開発:ものづくり補助金など
- AI研修:人材開発支援助成金
制度の対象可否を確認する前に、対象業務、現在の工数、必要データ、人が確認する工程を整理しておくと、申請のためだけではない導入計画になります。
ケンセツAIラボについて
ケンセツAIラボでは、補助金申請の代行ではなく、AIを適用する業務範囲、PoC、必要データ、効果指標の整理を支援しています。制度利用を検討する場合も、まず技術的・業務的に成立する範囲を明確にします。
図面、仕様書、注文書などのサンプルをもとに、AIで一次処理できる範囲と人が確認すべき工程を整理し、小規模なデモから検証できます。対象制度を探す前の「何を導入するのか」という段階からご相談いただけます。
AI USE CASE DIAGNOSIS
どの業務からAI化すべきか、まだ決まっていなくても大丈夫です。
現在の業務フローを伺い、小さく検証しやすい対象業務と必要データを整理します。
ケンセツAIラボ編集部
建設・設備業の図面、仕様書、見積、受発注など、各社固有の業務に合わせたAI活用を調査・発信しています。
監修:株式会社ドットログ 開発チーム




