ナレッジ活用

建設業のRAG活用事例5選|技術資料・施工基準・社内規程をどう検索しているか

建設会社のRAG活用事例を、検索対象、精度改善、人による確認、運用方法の観点から比較。技術資料や施工基準、社内規程を検索する仕組みと、社内資料検索AIのPoCで測る正答率・根拠提示率・確認時間を整理します。

公開 2026/07/14更新 2026/07/145 MIN READ

ケンセツAIラボ編集部

建設業向けAI活用・業務システム開発

この記事の目次
  1. 01この記事の結論
  2. 02建設業のRAG活用事例5選
  3. 031. 大豊建設:表を含む社内規程への対応
  4. 042. 清水建設:1,000ページ超の技術文書を検証
  5. 053. 北野建設:文字・図・表を構造化して現場へ
  6. 064. 大成建設:専門家の模範解答を蓄積
  7. 075. 大日コンサルタント:日常の知識共有とRAGを接続
  8. 08RAGの精度を左右する条件
  9. 09資料の版と適用範囲
  10. 10図表とページ構造
  11. 11回答できないときの挙動
  12. 12PoCで使う評価項目
  13. 13まとめ
  14. 14ケンセツAIラボについて

建設会社がRAG(検索拡張生成)を検討する背景には、施工基準、技術資料、過去報告書、社内規程などが増え、必要な情報へたどり着くまでに時間がかかる問題があります。

ただし、資料をAIへ読み込ませるだけでは実務で使える検索にはなりません。図表の処理、文書の分割、旧版と最新版の区別、回答根拠の表示、専門家による改善が必要です。

この記事では、企業・官公庁の公開情報から建設業のRAG活用事例を5件取り上げ、検索対象と運用上の工夫を整理します。

この記事の結論

建設業のRAGで重要なのは、AIモデルの選択より次の4点です。

  1. 検索対象を業務単位で絞る
  2. 図表を含むPDFの処理方法を決める
  3. 回答と一緒に原典を表示する
  4. 誤回答を専門家が改善できる運用を作る
建設業のRAGを資料整理、構造化、検索、回答、根拠確認、改善の6工程で示した図

建設業のRAG活用事例5選

事例

主な検索対象

公開された工夫

大豊建設

社内規程、社内文書

表の扱いを踏まえて検索基盤を変更

清水建設

1,000ページ超の建築施工技術文書

ページ単位の分割、図表処理、根拠表示

北野建設・日立ソリューションズ

技術、工法、規定、ヒヤリハット、公開資料

文字・図・表の構造化、現場フィードバック

大成建設

建築施工技術資料

利用者の指摘を専門家が模範解答へ反映

大日コンサルタント

整理・構造化した技術知識

日常的な投稿とRAGチャットを連携

1. 大豊建設:表を含む社内規程への対応

大豊建設の「大豊AI」は、Amazon Bedrock Knowledge Basesを使ってRAG検索を実装しています。当初の検索基盤では、社内規程に含まれる表の扱いなどに課題があり、構成を変更したことが公開されています(AWS公式事例)。

この事例が示すのは、RAGの成否が「PDFを読めるか」ではなく、表やページ構造を含めて必要箇所を取得できるかで決まることです。

2. 清水建設:1,000ページ超の技術文書を検証

清水建設の事例では、3分冊・1,000ページ超の「新・建築施工の基礎知識」を対象にRAG化を進めています。導入支援会社によるインタビューでは、若手向け社内テストの正答率が初期検証時の約35%から最終的に93%へ改善したとされています(Lightblue導入事例)。

改善要因として公開されているのは、1ページ単位への分割、図表の画像処理、回答根拠となる該当箇所の表示です。この93%は同社の社内テスト条件での数値であり、他の資料や企業で同じ精度を保証するものではありません。

3. 北野建設:文字・図・表を構造化して現場へ

北野建設と日立ソリューションズは、国土交通省の公開資料と社内の技術ノウハウ、報告書などを対象に、文字、図・画像、表を構造化してベクトルデータベースへ格納する検証を実施しました(日立ソリューションズ公式発表)。

技術や工法、規定、ヒヤリハット事例の情報収集に加え、週次報告書の一部作成も対象としています。2026年5月には北野建設が建設現場での運用開始を公表しました。

4. 大成建設:専門家の模範解答を蓄積

大成建設の「建築施工技術探索システム」は、RAGによる回答が不正確だった場合、利用者がフィードバックできます。その内容を各技術分野の専門家が確認し、模範解答を作成・登録して利用者へ通知します(大成建設公式発表)。

AIだけで精度を改善するのではなく、専門家のレビューを知識として残す運用です。誤回答を報告する入口と、誰が直すかを設計している点が参考になります。

5. 大日コンサルタント:日常の知識共有とRAGを接続

大日コンサルタントの「D-AI-Chat」は、ナレッジマネジメントシステム「Dナレッジ」に蓄積した情報とRAGを組み合わせています。国土交通省の令和7年度インフラDX大賞資料では、3,500件以上の記事が投稿され、社員の半数以上が月10回以上利用していると紹介されています(国土交通省資料)。

通常の業務文書をそのまま投入するのではなく、「共有すべき知識」として整理・構造化している点が特徴です。

RAGの精度を左右する条件

資料の版と適用範囲

同じ名称の仕様書が複数ある場合、最新版、廃止版、案件固有版を区別します。回答に文書名、版、ページを表示できる状態が必要です。

図表とページ構造

建設技術資料では、文章だけでなく図、表、注記、参照番号が判断材料になります。テキスト抽出結果だけで評価せず、原本ページと回答が一致するかを確認します。

回答できないときの挙動

資料に根拠がない質問へ、もっともらしい回答を返すと実務では危険です。「該当資料が見つからない」と回答できるかも評価します。

PoCで使う評価項目

評価項目

確認方法

回答の正しさ

技術担当者が正解例と比較する

根拠の一致

表示された資料・ページを原本で確認する

版の正しさ

最新版・案件指定版を参照しているか確認する

回答不能判定

根拠がない質問へ推測回答しないか確認する

検索時間

従来検索とAI検索の所要時間を記録する

修正内容

誤回答の原因を資料・検索・生成に分けて記録する

導入前の資料整理は、建設業の社内資料検索をAI化する前に整理したい5つのことで詳しく解説しています。

まとめ

建設業のRAG活用では、社内規程、施工基準、技術資料、ヒヤリハット、過去報告書などが検索対象になっています。成功事例に共通するのは、資料を入れるだけで終わらず、図表処理、根拠表示、版管理、専門家レビューを運用に含めていることです。

最初のPoCでは、対象資料を1種類に絞り、実際に担当者が過去に調べた質問を20〜50件用意します。

ケンセツAIラボについて

ケンセツAIラボでは、仕様書、施工基準、過去見積、社内マニュアルなどを対象に、回答根拠を確認できる社内ナレッジAIの検証・開発を支援しています。

資料を一括投入する前に、版管理、閲覧権限、質問例、人が最終確認する範囲を整理します。まずは1〜3点の資料を使い、検索可能性と課題を確認する簡易デモから相談できます。

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社内資料に合わせた検索デモを作成できます。

仕様書や過去資料を1〜3点お預かりし、回答根拠まで確認できる簡易デモをご用意します。

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ケンセツAIラボ編集部

建設・設備業の図面、仕様書、見積、受発注など、各社固有の業務に合わせたAI活用を調査・発信しています。

監修:株式会社ドットログ 開発チーム

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