この記事の目次
施工計画書、週次報告書、議事録、技術文書は、建設業で繰り返し作成される一方、案件条件や技術判断を含むため、単純なテンプレート置換だけでは作れません。
生成AIを使う場合も、完成文書を無確認で提出するのではなく、発注情報や社内資料からドラフトを作り、担当者が数値、工法、安全・品質条件を確認する流れが現実的です。
この記事では、企業が公開している文書作成AIの事例から、AIへ任せる範囲と人が確認する工程を整理します。
この記事の結論
建設文書のAI化では、次の6工程を分けます。

AIに任せやすいのは情報整理、構成、下書きです。社外提出前の技術判断、法令・仕様との整合、数値、責任者承認は人が担当します。
公開されている文書作成AIの事例
1. 大成建設:全体施工計画書のドラフトを生成
大成建設は、公共工事の発注情報と社内の技術ナレッジをもとに、国土交通省書式に準拠した土木工事全体施工計画書のドラフトを生成するシステムを開発しました。同社は、従来比で作業時間を約85%削減可能と公表しています(大成建設公式発表)。
同時に、出力の信頼性が低い箇所を特定し、経験豊富な技術者が特定箇所を精査する工程も明記されています。数値は同社のシステムと検証条件に基づくもので、一般的な生成AI利用で同じ削減率になるわけではありません。
2. 北野建設:週次報告書の一部作成を検証
北野建設と日立ソリューションズは、技術・工法・規定・ヒヤリハット事例の検索とあわせ、週次報告書の一部を生成AIで作成する検証を実施しました(日立ソリューションズ公式発表)。
検索と文書作成を分けず、根拠となる技術情報を取得してから報告書へ反映する構成です。
3. 大豊建設:議事録、メール、要約を日常利用
大豊建設の「大豊AI」は、議事録の自動生成、資料の要約、メール作成などに利用されています。AWSとの共同事例では、日常的な質問やExcel関数の検索が利用の60.9%、建設業に特化した質問が24.1%など、利用内訳も公開されています(AWS公式事例)。
専門文書だけでなく、小さな文書作業で利用習慣を作った点が参考になります。
4. 西松建設:建設特化LLMで専門文書を支援
西松建設は、一般的なLLMでは建設業の専門知識に関する文書生成品質が下がるとして、建設特化型LLMを導入しました。社内文書を参照した文章生成や専門性の高い技術文書の作成支援機能も開発しています(西松建設公式発表)。
文書ごとにAIへ任せる範囲を変える
文書 | AIに任せやすい範囲 | 人が確認する範囲 |
|---|---|---|
議事録 | 文字起こし、要約、決定事項抽出 | 発言者、期限、決定内容 |
週次報告書 | 実績整理、定型文、下書き | 進捗、遅延理由、安全・品質事項 |
施工計画書 | 発注情報整理、過去文書参照、章立て | 工法、工程、安全、法令、責任者承認 |
技術文書 | 関連資料検索、構成、表現調整 | 技術的正しさ、適用条件、出典 |
メール | 文面、敬語、要点整理 | 宛先、金額、期日、契約事項 |
PoCで確認する評価項目
- 作成前に必要な入力が揃っているか
- 社内書式の見出しと項目を維持できるか
- 数値・固有名詞・日付が原本と一致するか
- 根拠資料を追跡できるか
- 担当者の修正時間が減るか
- 修正履歴と最終承認者を記録できるか
AIが作った文章の流暢さと、施工上の正しさは別の評価です。読みやすくても根拠が不足していれば社外提出には使えません。
小さく検証する方法
最初から施工計画書全体を対象にせず、過去に書式が安定している1章や、週次報告書の実績欄などへ絞ります。過去文書を正解例として、下書き作成時間と人の修正時間を記録します。
対象業務の選び方は、建設業で最初にAI化する業務の4つの判断基準も参照してください。
まとめ
建設業の文書作成AIは、議事録やメールから施工計画書まで用途が広がっています。共通するのは、AIを最終提出者にせず、根拠情報からドラフトを作る役割として使っている点です。
自社で始める際は、定型性が高く、過去の正解文書があり、責任者が確認できる文書から検証します。
ケンセツAIラボについて
ケンセツAIラボは、建設・設備業の文書作成、社内資料検索、受発注転記などを対象に、入力データ、AIの処理範囲、人の承認工程を整理したPoCと個別システム開発を支援します。
既存のExcel、Word、PDF、基幹システムとの連携も含め、単なる文章生成ではなく実際の業務フローへ組み込む方法を検討します。
AI USE CASE DIAGNOSIS
どの業務からAI化すべきか、まだ決まっていなくても大丈夫です。
現在の業務フローを伺い、小さく検証しやすい対象業務と必要データを整理します。
ケンセツAIラボ編集部
建設・設備業の図面、仕様書、見積、受発注など、各社固有の業務に合わせたAI活用を調査・発信しています。
監修:株式会社ドットログ 開発チーム




