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清水建設の生成AI活用は、全従業員が使える汎用環境と、建設技術文書を検索する専門RAGを段階的に進めている事例です。
公式発表では全社導入の目的、利用人数、用途、セキュリティ、ハルシネーションへの懸念が公開されています。導入支援会社のインタビューでは、技術文書RAGの評価条件と改善過程が紹介されています。
本記事は公開情報をもとにした事例研究です。株式会社ドットログが清水建設のシステム開発へ関与したことを示すものではありません。ベンダー公開の検証値は、その資料とテスト条件に限定して扱います。
全社AIと専門RAGを分けて見る

清水建設の事例は、次の2層で整理できます。
- 調査、要約、文章生成などに使う全従業員向け環境
- 施工技術文書を根拠付きで検索する部門・業務別RAG
全従業員向け生成AIの導入
清水建設は2023年11月から企業向け生成AIサービスを導入し、2024年3月に全従業員向けの提供開始を公表しました。発表時点で1,200人以上が利用し、調査、アイデア出し・文書生成、プログラミング補助、要約などに使われていました(清水建設公式発表)。
導入サービスには、入力データを学習に使わないこと、会社支給端末からのアクセス制限、利用履歴の記録などの機能があると説明されています。
一方、同社は検索用途でハルシネーションが多く起こる懸念も公式発表へ記載しています。全社配布だけで終わらず、得意・不得意と使い方を教育する方針です。
技術文書RAGの検証
導入支援会社Lightblueが公開したインタビューでは、3分冊・1,000ページを超える社内技術文書「新・建築施工の基礎知識」のRAG化が紹介されています(Lightblue導入事例)。
公開された課題と対応は次の通りです。
課題 | 対応として公開された内容 |
|---|---|
文書の分割 | 1ページ単位のチャンクへ調整 |
図表の理解 | 画像処理を最適化 |
根拠箇所 | インデックスと参照表示を改善 |
若手向け社内テストの正答率は、初期の他社システム検証時に約35%で、最終的に93%へ改善したと説明されています。また、従来30分以上かかった技術基準の確認が数分になった例も紹介されています。
これらは清水建設の対象文書と社内テスト条件での数値です。別の資料、質問、図表で同じ精度・時間になることを保証するものではありません。
利用定着で重視されたこと
ベンダー事例では、Teamsなど普段使うチャットから利用できる操作性と、部門・現場が独自アシスタントを作れる点が選定要素として挙げられています。試験導入開始から2か月で約50のアシスタントが構築されたとされています。
現場での定着には、モデルの性能だけでなく、普段の入口から使えること、現場単位で質問・資料を調整できることが影響します。
AI基本方針で示された6原則
清水建設は2025年6月に「シミズグループ AI基本方針」を策定しました。公式発表では次の6原則が示されています(清水建設公式発表)。
- 人間中心のAI活用
- 人権の尊重
- 法令順守・権利保護
- 安全性の担保
- 説明可能性・透明性の確保
- AIガバナンス体制の構築と人財育成
技術検証と同時に、権利、情報漏洩、説明可能性、人材育成を全社方針へ含めています。
公開情報だけでは分からないこと
- 2026年時点の全社利用人数と継続率
- 93%のテスト問題数と問題別の結果
- 誤回答が残った質問の種類
- 資料更新・権限管理の運用体制
- 全社環境と技術RAGの費用
自社へ応用するときの順序
- 汎用生成AIで利用ルールと教育を整える
- 調査・要約・文書など確認しやすい用途を広げる
- 1種類の技術文書と実際の質問でRAGを評価する
- 図表、根拠、版、回答不能時の挙動を改善する
- 部門展開後も利用ログと誤回答を専門家が確認する
まとめ
清水建設の事例からは、全社で使える生成AI環境と、専門文書向けRAGを分けて設計する考え方が読み取れます。RAGは初期精度だけで判断せず、文書分割、図表処理、根拠表示を評価質問に基づいて改善しています。
ケンセツAIラボについて
ケンセツAIラボでは、仕様書、施工基準、過去見積、社内マニュアルなどを対象に、根拠ページを確認できる社内ナレッジAIを開発します。
資料の版・権限・図表を確認し、実際の質問を使って正答、根拠、回答不能時の挙動を評価します。全社展開前の小さなデモから相談できます。
CONSTRUCTION KNOWLEDGE AI
社内資料に合わせた検索デモを作成できます。
仕様書や過去資料を1〜3点お預かりし、回答根拠まで確認できる簡易デモをご用意します。
ケンセツAIラボ編集部
建設・設備業の図面、仕様書、見積、受発注など、各社固有の業務に合わせたAI活用を調査・発信しています。
監修:株式会社ドットログ 開発チーム




