導入事例

大成建設のAI活用事例研究|技術検索・施工計画書・品質管理をどう分けたか

大成建設が公開した施工技術RAG、施工計画書生成、建築デザイン支援、コンクリート品質評価を比較。各業務で使う入力データ、AIが作る出力、専門家・設計者・技術者が残す確認工程、導入評価の違いを整理します。

公開 2026/07/14更新 2026/07/144 MIN READ

ケンセツAIラボ編集部

建設業向けAI活用・業務システム開発

この記事の目次
  1. 014つのAI活用を業務別に整理
  2. 021. 施工技術探索:専門家の回答を改善へ戻す
  3. 032. 施工計画書:ドラフト作成と経験者確認を分離
  4. 043. 建築デザイン:スケッチと模型を具体的なパースへ
  5. 054. 品質管理:打継面処理を画像から定量評価
  6. 064事例に共通する設計
  7. 07業務ごとに入力と評価を変える
  8. 08人の専門性をなくさず、確認位置を変える
  9. 09フィードバックを次回へ残す
  10. 10自社で複数テーマを進める場合
  11. 11まとめ
  12. 12ケンセツAIラボについて

大成建設は、施工技術の検索、施工計画書の下書き、建築デザイン、コンクリート品質評価など、異なる業務へAIを適用しています。

これらは1つの万能AIで処理するのではなく、対象業務ごとに入力データ、AIの出力、人の確認工程を変えています。この記事では、大成建設の公式発表・技術報告から4事例を比較します。

本記事は公開情報に基づく事例研究です。ケンセツAIラボまたは株式会社ドットログが大成建設のシステム開発へ関与したことを示すものではありません。

4つのAI活用を業務別に整理

技術検索、施工計画書、設計支援、品質評価の4領域を比較した図

用途

主な入力

AIの出力

人の確認

施工技術探索

社内技術資料、質問

回答、関連資料

専門家の模範解答

施工計画書

発注情報、技術ナレッジ

Wordドラフト

経験者の精査

建築デザイン

スケッチ、模型写真

建築パース

設計者の選定・調整

品質評価

コンクリート打継面画像

処理程度の定量評価

施工管理上の判定

1. 施工技術探索:専門家の回答を改善へ戻す

「建築施工技術探索システム」は、RAGを使って関連資料を検索し、建築施工に関する質問へ回答します。回答が不正確だった場合、利用者がフィードバックし、各技術分野の専門家が模範解答を作成・登録します(大成建設公式発表)。

利用者、AI、専門家の三者で回答品質を改善する設計です。専門家は毎回同じ質問へ個別回答するのではなく、模範解答をデータベースへ残します。

2. 施工計画書:ドラフト作成と経験者確認を分離

土木工事の「全体施工計画書作成支援システム」は、公共工事の発注情報と社内技術ナレッジから、国土交通省書式に準拠したドラフトを作成します(大成建設公式発表)。

同社は作業時間を従来比で約85%削減可能と公表しています。また、信頼性が低い箇所を特定し、経験豊富な技術者が特定箇所を精査する工程も設けています。

削減率は同社の対象業務とシステム条件によるものです。自社で評価する場合は、初稿生成時間だけでなく、人の修正・確認時間まで含めます。

3. 建築デザイン:スケッチと模型を具体的なパースへ

大成建設技術センターは、スケッチや模型をカメラで取り込み、画像生成AIを使って建築パースを生成する設計支援システムを開発しました。専門的な画像生成操作をしなくても使えるよう、システムがプロンプトを補う仕組みを採用しています(技術センター報)。

出力画像は完成設計ではなく、初期検討と合意形成を支援する材料です。構造・法令・施工性は別途設計者が確認します。

4. 品質管理:打継面処理を画像から定量評価

大成建設は、ダムなどのコンクリート打継面をタブレットで撮影し、AI画像認識で処理程度を定量評価する技術を開発しました。従来の目視評価で起こり得るばらつきを減らし、大型の特殊計測機器を使わず即時評価できるとしています(大成建設公式発表)。

公式発表では建設現場で効果を確認したとされていますが、具体的な判定精度や適用件数は公開されていません。

4事例に共通する設計

業務ごとに入力と評価を変える

技術検索は正答・根拠、施工計画書は修正時間、設計支援は比較・合意形成、品質評価は条件別の判定一致が重要です。共通の「AI精度」だけでは評価できません。

人の専門性をなくさず、確認位置を変える

専門家や経験者は、最初から全文を書く、全資料を探す、すべてを目視判定する役割から、AIの候補・下書き・判定を確認し改善する役割へ移ります。

フィードバックを次回へ残す

施工技術探索では、誤回答を専門家が模範解答として蓄積します。AIを導入した時点で完成とせず、修正内容を次回の検索・生成へ戻す仕組みが必要です。

自社で複数テーマを進める場合

  1. 業務ごとに責任者を分ける
  2. 入力データと正解例を定義する
  3. AIの出力形式を決める
  4. 人が承認する箇所を明記する
  5. テーマごとに評価指標を変える
  6. 共通基盤は権限、ログ、モデル管理に限定する

まとめ

大成建設の公開事例は、RAG、文書生成、画像生成、画像認識を、それぞれ適した業務へ分けている点が参考になります。自社でも、AI技術からテーマを選ぶのではなく、対象業務、入力データ、中間成果物、人の確認を先に定義します。

ケンセツAIラボについて

ケンセツAIラボでは、図面拾い出し、社内資料検索、文書作成、帳票転記など、建設・設備業の業務に合わせたAI活用を支援します。

対象業務を工程に分け、PoCで確認するデータ、評価指標、人の確認画面を整理したうえで、個別システムとして実装します。

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